学術研究の大型プロジェクトに関するパブリック・コメントについて

 すでにご承知の方も多いとおもいますが、4月11日付で文部科学省から科学技術・学術審議会学術分科会の下に置かれた研究環境基盤部会学術研究の大型プロジェクトに関する作業部会のまとめ「学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想 ロードマップの改訂 -ロードマップ2012-」に関するパブリックコメントが実施されております。

 脳神経科学関係の計画としては、すでに最先端研究基盤事業に採択されて開始されている「心の先端研究のための連携拠点(WISH)構築」と、「シームレス脳科学の創成を目指した計測・操作研究プラットフォームの設立」がこのロードマップに盛り込まれています。

 ご存知のように国民の税金を元にして行われる大型研究プロジェクトに対して、研究者としても一国民としてもフィードバックを行える唯一の機会がパブコメです。ただし、下記「現状の説明」にありますように、ロードマップ2012において脳神経科学関係の計画の評点は高くはなく、優先度の低い計画のカテゴリーに分けられています。

 今後、日本神経科学学会をはじめとする脳科学研究者のコミュニティが大型研究プロジェクトそのものをどのようにして立案して支援していくか、という長期的な問題に学会として取り組んでいく必要があります。同時に、現時点での脳神経科学関係の計画に対して、脳科学研究者コミュニティからの何らかのフィードバックが必要と考えます。

 このような現状を踏まえて、日本神経科学学会会員各位におかれましては、パブリックコメントへの積極的な意見提出をお願い致します。

日本神経科学学会 科学コミュニケーション委員会

【パブリックコメント実施期間】
平成24年4月11日(水曜日)~平成24年5月7日(月曜日)

【意見提出の方法】
意見提出書式をダウンロードし、電子メール(gakkikan@mext.go.jp)もしくはFAX(03-6734-4086)にて送付

【問い合わせ先】
文部科学省研究振興局学術機関課企画指導係
電話番号:03-5253-4111(内線:4295)
ファクシミリ番号:03-6734-4086

【背景の説明】
  • 学術分野のコミュニティを代表する日本学術会議では、平成22年10月に7つの分野(人文・社会学、生命科学、エネルギー・環境・地球科学、物質・分析化学、物理科学・工学、宇宙空間科学、情報科学)に関する43の計画を「マスタープラン2010」として提出し、その後、平成23年9月にこの小改訂を行なって、新規107計画を合わせた中から46計画が「マスタープラン2011」に盛り込まれた。
  • 文部科学省では平成22年に学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想「ロードマップ」を作成したが、マスタープランの改訂にともない、新たに盛り込まれた15計画のヒアリングも踏まえた上で、ロードマップの改訂を行った。
  • 文科省の意図としては、本ロードマップについての国民のコンセンサスを得ることが、大型プロジェクトを推進するための予算確保に重要であり、個々の計画について活発な議論が行われることを期待している。
  • 日本学術会議基礎医学委員会の下に置かれた神経科学分科会では、平成22年から23年の間にマスタープラン改訂に向けた計画について、包括脳ネットワークの将来構想委員会とも連携し、議論を重ねた。
  • 最終的に、東大の廣川先生が代表となって「シームレス脳科学の創成を目指した計測・操作研究プラットフォームの設立」が提出され、これは「マスタープラン2011」に盛り込まれ、平成24年2月22日に文科省のヒアリングを受けた。
【現状の説明】
  • 例えば物理科学分野においては加速器等の大型施設や設備が必須であり、マスタープランに盛り込む計画を練る段階から、公開シンポジウムを開催しオープンに議論を進めるなどの準備をしており、ロードマップ改訂版においても4課題が「基本的な要件が満たされており、一定の優先度が認められる計画(17計画)」になっている。
  • これに対し、脳神経科学分野の2計画は上記以外の29計画に振り分けられており、このままでは優先度の高い計画として予算化される可能性は低い。
  • 日本学術会議の「学術の大型研究計画検討分科会」では、第22期の終了を念頭に置き、第二期のマスタープランの表出について平成26年4月を目処に行う予定としている。
  • 上記のような背景および現状を踏まえ、神経科学分科会では脳神経科学の学術分野の研究者コミュニティの合意を醸成し、計画する大型研究が国民にとって重要であることを広く社会に訴えていく必要があると考えられる。
  • パブリックコメントは、科学コミュニティおよび一般社会が課題に対して意見を提示できる数少ない重要な手段である。脳神経科学の研究者コミュニティの意見を反映させるために、個々の研究者の積極的な参画が必要である。
【関連資料】